「税務調査」の対象は10人に1人の割合!税務調査を抑える書面添付制度とは?

書面添付制度

国税庁が発表している統計では、相続税申告の税務調査率は約10%となっています。

つまり相続税申告書を提出した人の10人に1人は税務調査を受けることになります。

しかし、この確率は税理士が添付書類をつけることによって抑えることができます。

相続税申告の際、添付する書類とは?

相続税申告の際、添付する書類とは、税理士が申告書を作成するに当たり、「計算し、整理をし、又は相談に応じた事項」を記載した書類を添付することです。

税理士が税務署に対して申告書の作成経緯を明らかにし、その内容を保証する制度ともいえます。

この書面が添付されていると、税務署が調査を行う場合には、相続人へ直接連絡するのではなく、先に税理士へ申告に関する意見聴取(ヒアリング)を行うのが原則になります。

税理士への意見聴取の結果、調査の必要性がないと認められた場合は、調査は省略・完了となりますので、相続人にとっては非常に心強く安心できる制度です。

つまり、相続税の税務調査の確率は税理士が添付する書面の付け方で変わってきます。

添付する書類のポイント

(1)申告書の「明瞭さ」をアピールする

当然のことですが、税務署では「税金の支払いが適正であるか」「申告漏れはないか」「脱税していないか」ということが確認されます。

この財産は「申告漏れではありません」「脱税ではありません」ということを明らかにすることが大きなポイントです。

例えば、「定期預金900万円」と申告書に記載した場合、税務署側は「それ以上の預金は本当にないのか?」という視点になります。そこで、より申告書の信憑性を高めるために、金融機関が発行する“預金の残高証明書”を添付書類として添付して申告をします。

さらに、「相続発生直前に大きな預金引出しがあったのでは?」という疑いをなくすため、過去数年の預金移動について、申告書とは別に事情説明書をつけて申告を行うこともあります。

(2)申告書の「作成過程」をアピールする

「相続人全員の全口座を過去5年間調査しましたが、被相続人からの入金(生前贈与)は一切ありませんでした」
「被相続人の貸金庫を開封した結果、中身は現金100万円でした」

等、相続税申告書作成の過程や、実施作業内容を細かく記載した書類を添付し提出します。

そうすることで、税務署も「しっかりとした調査による申告書である」ことを疑うことなく、安心して内容を確認することができます。

相続税申告には相続専門の税理士に依頼しましょう

相続税申告は税理士であればだれでも作成可能であるというわけではありません。

相続税申告は「相続税法」「相続税法施行令」「相続税法施行規則」「相続税基本通達」「財産評価基本通達」という複数の法律とルールに基づいて作成しなければならず、税務申告の中でも特に難しいといわれています。

一方で、税理士1人が年間に受ける相続税申告の件数はというと、日本国内の相続税申告件数が年間約12万件、税理士の登録者数が約8万人ですから、年間1~2件程度しかないのです。

つまり、どの税理士事務所も法人税の申告経験はある程度ありますが、相続税の申告を数多く行っている事務所は実はそう多くはないということがいえます。

お医者さんにも外科、内科、精神科などの専門分野があるように、税理士にも相続税の申告を年間安定的に行っている相続専門の税理士がいます。税理士に相談される際は、相続専門税理士にご相談されることをお勧めします。