農地をお持ちの場合の事前対策

愛知県内で相続税申告をされる方の中には、「農地」を持っている方も多く、農地に関する財産の評価や分割の方法、生前の対策が相続税の納税額を下げる大きなポイントになっています。

ここでは、農地をお持ちの方が相続税申告をする際、生前の対策を実施する際のポイントを解説させていただきます。

相続が発生している方の場合

既に被相続人の方が亡くなり、相続が発生している方の場合、ポイントとなるのは「遺産分割の方法」と「農地の評価」です。

遺産分割の方法による相続税の節税

相続には法定相続人といって、法律で決められた相続の権利を持つ人が存在し、それぞれ相続をする割合も決まっています。

ただし、必ずしもこの決まりに従わなくてはならないわけではなく、当事者全員の同意があれば変更することも可能になります。

中でも、配偶者の税額の軽減という大きな要素があり、この制度を使うことで、配偶者に分割された相続財産は、1億6千万円まで相続税がかかりません。

1億6千万円という額の大きさから、一見すると「全額使い切らないともったいない!」という気持ちになりがちなのですが、ここが大きな落とし穴になります.

そこで考えなくてはならないのが、2次相続(次回の相続)です。

1回目の相続は、配偶者の税額の軽減を使い、1億6千万円満額使うことで相続税の節税ができるのですが、次にその配偶者の方が亡くなった場合、配偶者が相続された財産の多くが再度相続されることとなります。

その際は、もちろん配偶者の税額の軽減は使えなくなりますので、丸々相続税の対象となってしまうのです。

この2回目の相続を2次相続といい、配偶者の税額の軽減を使うことで、1回目の相続では大きく節税できるものの、2回目の相続で発生する税額と合わせて計算すると、1回目の相続でも配偶者以外に財産を相続しておいた方が、合計の相続税が安く済むということも起こりうるのです。

これらを良く考えて遺産分割は決めなくてはなりません。

農地の評価

農地というのは、制限の度合いや所在地によって区分が分かれており、どの区分に属する農地であるかによって、評価方法が異なります。

農地の区分とは、以下の3つです。

● 純農地・中間農地:固定資産税評価額×国税局長が定める一定の倍率

● 市街地周辺農地:市街地農地×80/100

● 市街地農地:農地が宅地であるとした場合の価額-農地を宅地に転用する場合にかかる造成費

純農地、中間農地なら倍率方式で計算し、農地が市街地農地、市街地周辺農地なら「宅地比準方式」で計算します。

宅地比準方式とは、農地が宅地だった場合を想定して計算する評価の方法です。

生産緑地の評価

また、生産緑地に指定されている農地は更に別の評価方法となっております。

1. 課税時期において市町村に対し買取りの申立をすることができない生産緑地

● 生産緑地でないとした価額×(1-控除割合)

【控除割合表】

課税時期から買取りの申出をすることができることとなる日までの期間控除割合
5年以下のもの10%
5年を超え10年以下のもの15%
10年を超え15年以下のもの20%
15年を超え20年以下のもの25%
20年を超え25年以下のもの30%
25年を超え30年以下のもの35%

2. 買取りの申出が行われていた生産緑地又は買取りの申立をすることが出来る生産緑地

● 生産緑地でないとした価額×95%

以上のように非常に複雑な評価の計算が含まれています。

これらの土地の評価や相続税の分割方法などは、相続税の経験を多数持つ税理士ではないと知らない場合もあり、それによって相続人の方々にとって大きな損失となってしまう場合もあるのです。

当事務所では、農地の相続税申告の実績も多数あり、お客様の状況に応じて最適な申告や遺産分割のアドバイスをさせて頂きます。