預貯金や公社債などの金融資産の評価

相続の課税対象となる財産

相続の課税対象となる財産は、原則として財産を取得したときの「時価」で評価することになっています。そのため、相続財産を正確に把握するには、相続が開始した日の評価額を出す必要があります。

金融資産の評価額の算出方法

1. 現金

現金は、相続発生時の金額がそのまま評価額になります。

注意すべき点としては、金庫やタンス・貸金庫なども忘れずに調べること、相続発生前に引き出して保管していた預金なども含めることです。

2. 預貯金

・定期預金以外:預金残高
・定期預金:預金残高+既経過利子の額

※ 既経過利子の額とは、相続開始時に解約するとした場合に支払いを受けられる利子から、源泉所得税等を差し引いたものです。金融機関に預けた定期預金は、預けた時の元本と、相続発生時までに付いた利子の合計が相続時の評価額です。通帳だけではわからないこともあるため、金融機関の残高証明書を取る必要があります。

3. 上場株式

上場株式は、相続発生時の終値を調べます。

ただし、その日を含む月の終値の平均額、もしくはその前月、前々月の終値の平均額のほうが低ければ、そちらを選ぶことができます。(4つの基準のうち、一番低い価額のものを選びます)

詳しくはこちら「上場株式、気配相場などのある株式」

4. 非上場株式

非上場株式の場合は、発行会社の規模や株主の区分に応じた評価額になるので、評価額の算定は難しいです。

経営者や役員などが保有する自社株を相続する場合は、評価額が高くなり相続税の負担が増すこともあるのであらかじめ税理士等に相談しておくと良いでしょう。

詳しくはこちら「取引相場のない株式(非上場株)」

5. 投資信託

上場されている投資信託(ETF等)は、上場株式の評価に準じます。

詳しくはこちら「上場株式、気配相場などのある株式」

実際に解約すると、所得税が源泉徴収され、さらに信託財産留保額、解約手数料も引かれます。

評価にあたってもそれらを差し引いて計算します。

6. 債券

割引公社債は、利子がつかない代わりに、額面より安く発行される債券です。したがって、上場されていないものについては、満期まで待って初めてメリットをすべて享受できることになります。そのため、満期までの日数に応じた調整を行って評価します。

上場している割引公社債:
最終価格×額面/100円

その他の割引公社債:
{発行価格+(額面-発行価格)×課税時期までの日数/償還までの日数}×額面/100円